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2026年7月第2週

参照記事 63

こんにちは。今週のデンバー・ナゲッツは、サマーリーグでの若手の躍動とロスター再編成という二つの大きな動きが交錯する1週間となりました。

まず最も大きな話題となったのは、ドラフト35位指名のトレボン・ブレイジルのブレイクアウトです。サマーリーグ第3戦のオクラホマシティ・サンダー戦で、ブレイジルはキャリアハイとなる32得点を記録しました。シュート19本中11本を成功させ、特に注目すべきは3ポイント12本中6本を決めた点です。成功率50%という数字は、単なる運ではなく実力を示すものでした。

この試合でナゲッツが採用した戦術も興味深いものでした。サンダーのセンター、アデイ・マラは身長7フィート3インチと長身ながら、ペリメーターディフェンスに課題を抱えていました。ナゲッツはこの弱点を徹底的に突き、ピック&ポップを多用してブレイジルに積極的にシュートを打たせる作戦を展開したのです。ドロップカバレッジでブレイジルにコンテストが薄くなる状況を何度も作り出し、彼のジャンパーを繰り返し活かすことで得点源として機能させました。

ブレイジルは大学時代に3ポイント成功率35%を記録していましたが、今回の50%という数字は彼がシューターとしての能力を持っていることを明確に示しています。第1クォーターで3ポイントを3連続で決めた後、ウィンドミルダンクを決めるなど、得点パターンの多様性も見せつけました。特に前半終了間際には、残り0.6秒で3ポイントのブザービーターを決めるという劇的なプレーも披露しています。

ダンク能力だけでなくシューティング能力まで備えていることが判明したブレイジルの可能性は、ナゲッツファンに大きな希望をもたらしました。マービン・バグリーとのピック&ロール、ピック&ポップのコンビネーションがベンチユニットで機能する可能性も見えてきており、来シーズンへの期待が高まっています。

一方で、ロスター再編成の動きも活発でした。ジョナス・バランシューナスがナゲッツを離れ、母国リトアニアのザルギリス・カウナスと2年契約を結ぶことが正式に発表されました。興味深いのは、当初リトアニアメディアが契約成立を報じた際、バランシューナス本人がInstagramで「目を覚ましたら自分のために全てが決められていて、何もする必要がないという状況を見る。ありがとう、レポーターたちよ」と皮肉めいたコメントを投稿したことです。メディアの先走り報道に対する選手の率直な反応が印象的でした。

最終的にバランシューナスは欧州への道を選択しましたが、その決断には母国への強い思いがありました。「決定プロセスは長く、多くの会話がありましたが、リトアニア、ザルギリス、そしてリトアニアのバスケットボールが大きな役割を果たしました」と語っています。また、「欧州ファンのサポートとアリーナの雰囲気がNBAと異なることについて多くの議論がありますが、バスケットボールはどこでもバスケットボールですが、確実にそのスピリットと全体のアリーナに広がる方法を感じたいです」とも述べており、単なる契約条件ではなく、バスケットボールへの純粋な情熱が決断の背景にあったことがうかがえます。

バランシューナスの退団を受け、ナゲッツは元2位指名のマービン・バグリーIIIを1年契約で正式に獲得しました。報酬は年約350万ドルと推定されており、バグリーはこの夏複数のチームからオファーを受けていましたが、競争力のある西地区のチームでプレーする機会を優先しました。

バグリーは2018年2位指名者としては期待値に達していないとの評価もありますが、キャリアを通じて53.2%のFG%で平均11.8点、6.5リバウンドを記録しており、堅実なキャリアを築いています。昨季マーベリックスでの22試合では平均11.0点、6.8リバウンドと安定した成績を残しており、ニコラ・ヨキッチのバックアップとして十分な貢献が期待できます。

もう一つの重要な補強は、ユーロリーグから獲得したアルファ・ディアロです。ディアロは29歳の6フィート7インチのウィングで、過去5シーズンASモナコでプレーしていました。2024-25シーズンのユーロリーグ最優秀ディフェンダー賞を受賞しており、ユーロリーグスティール部門でリーグトップの成績を残しています。

ディアロはUAEのドバイバスケットボールへの複数年契約が決まっていましたが、NBAのオプトアウト権を行使してデンバーに加入することを決めました。年約200万ドルの収入を放棄してのNBA挑戦であり、彼の強い意志が感じられます。

ナゲッツの分析陣は、ディアロを「ペリメーターディフェンスという大きな課題に対応する小さな一歩」と評価しています。ユーロリーグで1番から5番まで守れる選手でも、NBA環境では2番から4番ポジションの守備に限定される可能性があるという慎重な見方もありますが、ピックアンドロールディフェンスで69パーセンタイル評価を獲得している点は評価に値します。

オフェンス面では制限的ですが、キャッチ&シュート34%という数字は想定より悪くなく、カッティングランやトランジションでの有効性も期待できます。ナゲッツがミニマム契約という限定的な予算の中でこの獲得を行ったのは、即戦力のディフェンダーを必要としていたからに他なりません。

さて、ここで少し複雑な話に入りますが、ナゲッツのサラリー状況について整理しておきましょう。現在ナゲッツは12選手で総額211ミリオンドルとなっており、セカンドエプロン(221.7ミリオン)まで約8ミリオンの余裕しかありません。

セカンドエプロンとは、2023年の新CBAで導入された規制で、このラインを超えると極めて厳しいペナルティが課されます。具体的には、ミッドレベル例外を一切使用できなくなり、トレードでの複数選手給与集約が禁止され、現金の送受金も禁止されます。さらに送り出す給与より多い給与を受け取るトレードも不可能になり、7年先の自チーム1巡目指名権が凍結されてトレード不可能になるのです。

この厳しい制約の中で、ナゲッツはペイトン・ワトソンの制限付きフリーエージェント交渉に直面しています。ワトソンは昨シーズン1試合平均14.6得点を記録し、ニコラ・ヨキッチの離脱時には特に得点で活躍しました。複数のチームが関心を示しており、ロサンゼルス・クリッパーズ、アトランタ・ホークス、そして今週新たにミルウォーキー・バックスが獲得競争に参入しました。

興味深いのは、ナゲッツのフロントオフィスがワトソンの評価を極めて高く設定している点です。報道によれば、ユタ・ジャズがウォーカー・ケスラーを獲得した際と同等の「王様の身代金」級のトレードパッケージ、つまりファーストラウンドピック2枚とピックスワップ2枚を要求しているとのことです。この強気の姿勢が全球団にとって障壁となっており、現時点では合意に至っていません。

ナゲッツはサインアンドトレードでサラリーを返されることを望んでいない可能性が高いと報じられています。これは、返ってきた給与によってセカンドエプロンを超えるリスクを避けたいという意図があるためです。もしワトソンのサインアンドトレードが成立し、その結果ナゲッツがファーストエプロン(209ミリオン)を超えることになれば、その時点でファーストエプロンでハードキャップされることになります。

ハードキャップとは、特定の取引を行った際にトリガーされる絶対的な上限のことです。通常NBAのサラリーキャップは「ソフトキャップ」と呼ばれ、バード権などの例外条項を使えばキャップを超えて契約できます。しかし、ハードキャップが発動すると、そのシーズン中は一切その上限を超えられなくなるのです。

ここでワトソン問題に関して率直な意見を述べたのが、チームメイトのキャム・ジョンソンです。ジョンソンは「部屋の中の象(厄介な問題)を取り上げましょう。ペイトン・ワトソンは契約交渉中です。私たちがこの立場にいる理由は、彼がいい成績を挙げたからです。彼は本当に上手くプレーしました。だから、選手たちが上手くプレーして高い給料をもらうことは望みますが、最終的には誰もが『クレイジー』な金額では払えなくなります」とコメントしています。

このコメントは、選手が活躍して報酬を得たいという正当な権利と、チームの予算制約の現実とのジレンマを浮き彫りにしています。ジョンソン自身、ワトソンの再契約に伴う給与増が他の選手への満額支払いを困難にする可能性を率直に認めており、自身が来シーズンのトレード候補として押し出される可能性さえあるのです。

一つの可能性として報じられているのが、クリッパーズのデリック・ジョーンズ・ジュニアとのサインアンドトレードです。NBAインサイダーのジェイク・フィッシャーは「デリック・ジョーンズ・ジュニアは興味深い名前だ。クリッパーズがカワイ・レナード退団後、リビルドモードに進む中で、彼は取引市場で語られる名前になるだろう。理論上、クリッパーズから選手も含まれる可能性のあるサインアンドトレードでナゲッツが望む選手だ」と分析しています。

ジョーンズは年3,000万ドル規模の契約を持つ攻守両面で機能するウィングで、ナゲッツが単なるドラフト資産ではなく即戦力の守備的ウィングを求める現在の指向性に合致した選手と言えます。クリッパーズ側もレナード退団後のリビルドで若手や指名権を集めたい状況にあり、双方の利害が一致する可能性があります。

ただし、このトレードが成立すれば、ナゲッツは受け入れるサラリーによってファーストエプロンまたはセカンドエプロンに到達するリスクを負うことになります。ナゲッツのフロントオフィスは、セカンドエプロン領域で運営する意思があるという噂がありますが、2026年プレーオフで1回戦敗退した現在のロスターのために莫大な贅沢税の請求書を支払うことに満足するとは考えにくいという慎重な見方もあります。

もう一つ注目すべき契約上の動きとして、ティアス・ジョーンズがナゲッツとの新契約で暗黙の取引除外条項を放棄したことが報じられています。これにより、デンバーはトレード期限までにジョーンズの承認なしに彼をトレードできるようになりました。

この「暗黙の取引除外条項」というのは、バード権を持つ選手が1年契約を結ぶと自動的に発生するもので、選手の権利保護のために制度上のトレード拒否権が付与されるというルールです。ジョーンズはこれを自ら放棄したわけですが、これはチームに柔軟性を与えるための献身的な行為と見ることができます。

さて、この1週間はレブロン・ジェームズの去就に関する報道も相次ぎました。ESPNのシャムス・チャラニアは、ジェームズが複数球団から情報収集を完了し、決断の時期に入ったと報じました。検討中の5球団はクリーブランド・キャバリアーズ、マイアミ・ヒート、フィラデルフィア・76ers、ゴールデンステート・ウォリアーズ、ミネソタ・ティンバーウルブズであり、残念ながらデンバーはこのリストに含まれていません。

デンバー・ポスト紙は「レブロンがナゲッツでキャリアを終える可能性は低い」と明確に結論づけています。ナゲッツはジョキッチとジェームズのペアリングをバスケットボール面では完璧に正当化できますが、ジェームズが選択する要因はオフェンスシステムだけではないという分析が重要です。

The Ringerのマイケル・ピナは興味深い分析を提示していました。「Jokicの天才性は誰もが適応できるようにする。彼はボールに触れるが支配はしない。LeBronが常に関与し続けられる。NikolaJokicは唯一、LeBronのキャリアを延長させながら彼の持ち味を損なわないプレイヤー。摩擦のないパートナーシップだ」と評価しています。

しかし現実的には、ナゲッツは限定的な資金力しか提供できません。利用可能なのは390万ドルの退役選手最低例外契約のみであり、クリーブランドが持つ感情的な優位性(ジェームズがキャリアを開始した地)や、ゴールデンステートが提供できるステフン・カリーとの共演という差別化された魅力に対抗するのは困難です。

マーク・スタインの報道によると、ジェームズはイースタン・カンファレンスの球団に予想以上に真摯に検討を進めており、ウォリアーズ自身さえもクリーブランドが最有力候補だと私的に評価していたとのことです。ナゲッツファンにとっては残念な展開ですが、ジェームズ獲得の可能性はかなり低いと言わざるを得ません。

一方で、より現実的な補強の可能性として、ラッセル・ウェストブルックの復帰が報じられています。マイアミ・ヒートがオフシーズンの補強候補としてウェストブルックに注目しているものの、ウェストブルックがヒートに加入するにはジェームスが他チームを選択することが条件となっており、ウェストブルックの自由契約はジェームスの決断待ちの状態です。

ナゲッツファンの間では、2025-2026シーズンを通じてウェストブルックの不在が感じられ、彼の復帰を望む声が強くなっています。ナゲッツはロスター枠に余裕があり、ウェストブルックも高額な契約を求めないとみられることから、彼の再獲得は現実的な選択肢となり得ます。37歳ながらなお価値を保持しているウェストブルックが、ニコラ・ヨキッチと並んでプレーすることが実現すれば、ファンに好意的に受け入れられるでしょう。

ニコラ・ヨキッチ本人についても、興味深い話題がありました。セルビアでの恒例のラフティング旅行中に撮影された新しい写真が公開され、体が引き締まった様子が確認されました。ヨキッチは毎オフシーズンに母国セルビアを訪問し、競馬も楽しむことが知られていますが、今年は特にフィットネス向上に取り組んでいる姿勢が見られます。

ジョキッチのフィットネスは、センターポジションでのプレーにおいて特に重要です。シーズンが進むにつれて体の負担が増加する傾向があり、284ポンドの体重での長時間プレーは疲労の原因となっています。体を絞ることで怪我の予防とパフォーマンス維持に有利に働く可能性があり、昨シーズンのトリプルダブル平均(27.7得点、12.9リバウンド、10.7アシスト)を記録したスーパースターが、さらに身体改善に取り組む姿勢は来シーズンのナゲッツの競争力向上への期待を高めています。

ジョキッチは今オフシーズン新契約にサインせず、来年夏まで待つ予定であることが報じられています。ナゲッツのジョン・ウォレス副会長は「私たちは彼を信頼している。他に選択肢がない」とコメントしており、フランチャイズプレイヤーとしてのジョキッチへの絶対的な信頼が感じられます。

最後に、若手の活躍についてもう一度触れておきましょう。ブレイジルの32得点は単なるサマーリーグでの活躍以上の意味を持っています。過去のナゲッツのサマーリーグでは、ハンター・タイソンやジュリアン・ストロウザーも32得点を記録していますが、ルーキーが見せたこのパフォーマンスはより価値があると評価されています。

ブレイジルは正式に「我ら自身の選手」になったと表現されており、ファンの間で高い興奮があります。特にバズービーターへの反応が非常に盛り上がっており、彼の将来的な活躍に対する期待が急速に高まっています。ダンク能力だけでなくシューティング能力まで備えていることが判明したことで、彼の可能性の広がりは大きなものとなりました。

一方で、過度な期待には注意が必要です。2023年のハンター・タイソンのサマーリーグでの活躍が実際のNBAシーズンにつながらなかった例もあり、ブレイジルがNBAの環境で同じレベルのパフォーマンスを発揮できるかは未知数です。ただし、彼が今夜得たショットはNBAでも実際に得られるショットであり、ピック&ポップを通じて得点を生み出すメカニズムがNBA環境で応用可能である点は重要です。

マービン・バグリーとのコンビネーションがベンチユニットで機能する可能性も見えてきており、ナゲッツのセカンドユニットに新たな攻撃パターンが加わることが期待されています。アルファ・ディアロの加入も含め、ベンチユニットは昨年から大きく様変わりしており、この変化が良い方向に働くかどうかが来シーズンの鍵となるでしょう。

ナゲッツは今オフシーズン、厳しい財政的制約の中で賢明な補強を続けています。ジョナス・バランシューナスとティム・ハーダウェイ・ジュニアを失った穴を、マービン・バグリー、アルファ・ディアロ、そして成長株のトレボン・ブレイジルで埋めようとしている構図です。

ペイトン・ワトソンの去就は依然として不透明ですが、ナゲッツのフロントオフィスは彼の価値を高く評価しており、安売りする意思がないことは明確です。複数チームからの関心は彼の市場価値の高さを示していますが、ナゲッツがマッチングするか、それとも適切な対価を得てトレードするかは、今後の展開次第となります。

来週はジェームズの決断が下される可能性が高く、それに伴ってNBA全体のフリーエージェント市場が動き出すでしょう。ナゲッツにとっては、ワトソン交渉の決着と、セカンドエプロンを避けるための最終調整が焦点となります。ヨキッチが体を絞って戻ってくる中、チーム全体がどのような形で来シーズンを迎えるのか、引き続き注目していきたいと思います。